城岳から望む岐宿火山が作り出した台地(令和2年4月掲載)
更新日:2020年4月1日
灼熱の流れの上には、脈々と続く人々の営みが感じられます
久しぶりに岐宿町の城岳に登りました。東シナ海が目の前に広がり、五島列島の最北端の宇久島も見えます。
西方には日本で唯一と言われる盾状(たてじょう)火山の三井楽半島や、地下で固まった溶岩が隆起した無人島の姫島、そして最も古い岩石の立小島などが一望できます。
眼下には、2方向の溶岩流が岐宿台地を形成しているのが見えます。一方は真っすぐに八朔鼻まで延び、もう一本は針のように尖って魚津ヶ崎半島を形成。約74万年前に噴火した岐宿火山は、人々に多くの恵みを与えました。
玄武岩質(げんぶがんしつ)の溶岩は、肥沃な土壌に変化し、縄文・弥生人の生活を支えました。茶園遺跡や鰐川(わにがわ)・寄神(よりがみ)貝塚などが代表例です。肥沃で平らな土地を目指して、武士達が上陸し戦も起きたようです。
魚津ヶ崎に伸びた溶岩流は、水之浦湾を閉め切りました。天然の防波堤となって、遣唐使船が寄港する波静かな良港を築きました。その溶岩流には、地底からの贈り物と呼ばれる宝石「オリビン(8月の誕生石)」も散りばめられています。
地底からの贈り物と呼ばれる宝石「オリビン(8月誕生石)」
城岳展望台に立つと、五島層群や火山が作った福江島有数の景観に感動します。耳を澄ますと、縄文・弥生人の狩りの雄叫び、遣唐使や武士達のざわめきが聞こえてくる気がします。
文/平田甚一郎
平田甚一郎さんの紹介
外国航路航海士を務めた後、フェリー太古の船長に。退職後は、五島の火山、地形・地質等を独学で研究している。
このページに関する問い合わせ先
総務企画部 政策企画課 広聴・広報戦略班
郵便番号:853-8501
長崎県五島市福江町1番1号(本庁舎)
直通電話:0959-72-6782
ファクス番号:0959-74-1994(代表)