長崎大学離島医療研究所長（前田隆浩教授）コメント

地域の高齢化が進み移動手段が限られてくる中、通院に困難さを感じている患者さんも少なくないと思います。その一方、ICTの目覚ましい発達によって、距離を意識することなく手軽に多様なコミュニケーションが可能な時代となり、テレビ電話を介して受診する遠隔医療（オンライン診療）が普及してきています。
五島市ではこうした動きを先取りし、看護師がサポートするオンライン診療のセットを、丸ごと地域の患者さんに届けるモバイルクリニック事業を2023年1月から開始しました。モバイルクリニックの車両には医療機器とオンライン診療用の通信システムを搭載し、看護師が同乗しているため安心ですし医師との連携もスムーズです。患者さんは自宅からほとんど移動することなくかかりつけ医を受診することができますので、受診が困難な患者さん達には大変便利ですし、実際に利用したことのある方からは高い評価を受けていると聞きます。
全国的に地域医療を取り巻く環境が変化する中、これまでの医療を維持することはもちろんですが、新たなテクノロジーを導入して、利便性と安全性のバランスを追求したより快適な社会を作っていくことも重要です。五島市のこうした取組が地域医療のニューノーマルに発展していくかも知れません。