世界に誇る潜伏(せんぷく)キリシタン関連遺産

更新日:2019年2月21日

「ユネスコ世界遺産(いさん)」とは?

1972年のユネスコ総会で決まった「世界の文化遺産(ぶんかいさん)及び自然遺産の保護に関する条約(じょうやく)」に基づき、世界遺産リストに登録(とうろく)された、文化財(ぶんかざい)、景観(けいかん)、自然など、人類が共有すべき「顕著(けんちょ)な普遍的価値(ふへんてきかち)」を持つ物件のことです。

世界や日本には、世界遺産がいくつあるの?

世界遺産は、文化遺産(ぶんかいさん)・自然遺産(しぜんいさん)・複合遺産(ふくごういさん)〔両方の価値があるもの〕の3種類に分けられます。2017年現在世界167ヶ国に1073ヶ所の世界遺産が登録されており、そのうちの21ヶ所は日本国内にあります。日本初の自然遺産登録となった「屋久島」や、信仰(しんこう)の対象として文化遺産に登録された「富士山」などが有名です。
長崎県には、2015年に「明治日本の産業革命遺産(さんぎょうかくめいいさん)」として「端島(はしま)〔軍艦島(ぐんかんじま)〕炭鉱(たんこう)」「長崎造船所(ぞうせんじょ)」が登録されています。
『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』は、文化遺産として登録されました。

旧五輪教会(久賀島)や江上教会(奈留島)には、どんな価値があるの?

キリスト教が禁止(きんし)になると、武士(ぶし)は信仰(しんこう)を捨てなければなりませんでしたが、農民や漁民はひっそりと信仰を守っていました。しかし、絵踏みなどによる取り締まりが激しくなり、一時信者がいなくなった時もありました。その後、長崎の外海(そとめ)地域から3,000名のキリシタンが移住(いじゅう)してきて、信仰が引き継がれたという記録が残っています。迫害(はくがい)や弾圧(だんあつ)に遭いながらも信仰を守り続けてきた事実に大きな文化的価値(ぶんかてきかち)があります。

迫害(はくがい)と弾圧(だんあつ)を避けながら信仰の中心となった教会は、まわりの自然環境とともに、五島ならではの自然景観(しぜんけいかん)を形成(けいせい)していることも文化的価値の一つです。また、建築物(けんちくぶつ)としても外国人神父(しんぷ)によって取り入れられた西洋的な建築様式(けんちくようしき)と実際に建てた日本人棟梁(とうりょう)〔鉄川与助(てつかわ よすけ)氏など〕の日本的美意識(びいしき)が合わさった和洋折衷(せっちゅう)建築として、貴重な価値をもっています。

守り続ける人が減っています

歴史的に迫害(はくがい)や弾圧(だんあつ)を受けながら、信仰(しんこう)の大切さや尊(とうと)さを守り続けてきた先祖の思いを引き継ぎ、現在もその地域に残るキリスト教にまつわる伝統的な行事を守り続けている人々がいます。
しかし、時代の変化とともに組織の役職(やくしょく)を引き継ぐ担(にな)い手が減り続けていることが現実です。
伝統的な文化が20年も絶えてきた儀式(ぎしき)を復活(ふっかつ)させようと、禁教期(きんきょうき)の伝統(でんとう)を受け継ぐ貴重(きちょう)な信仰文化を伝えている人々もいます。