五島市スポーツ推進委員田村卓也さん

年齢、性別、障がい、垣根を越えてスポーツを楽しんでほしい

   「ボッチャは、老若男女ほとんどの人が楽しめる競技なんです」、そう話すのは田村卓也さん。五島市スポーツ推進委員として、市内でボッチャというスポーツ競技の普及活動に取り組んでいます。
   ボッチャとは、脳性麻痺などの障がいを持つ方向けに考案されたヨーロッパ発祥のスポーツ。ジャックボールと呼ばれる白い的玉に向かってボールを投げ合い、どれだけジャックボールに近づけるかを競います。
   日本ではレクリエーション競技として普及したことに始まり、小さな子どもからお年寄りまで一緒にできると、じわじわと人気のスポーツに。パラリンピックの正式種目で、8 月に開幕した東京2020パラリンピックでは、多くの日本人選手が活躍しました。
   田村さんが東京の大学に通っていた頃、当時の教授から言われた「あなたの周りを見回してみなさい。障がいを持つ人たちが外を楽しむにはどうしたらいいか考えなさい」という言葉が心に強く響きました。その答えとして、年齢や障がいに関係なく楽しめるスポーツを探していたところ、ボッチャと出会ったそうです。
   さらに、車椅子のアスリートの方が話していた、「障がい者はスポーツをしなければいけない。スポーツを通して社会と関わるべき」という言葉に衝撃を受けます。「ならば僕はその助けになりたい」と、ボッチャの普及に向けた決意を固め、活動を続けています。
   2019年のスポレクフェスタ以降、五島市長杯ボッチャ大会の開催など、積極的に市民にボッチャを広めている田村さん。普及に向け、障がい者スポーツ指導員という資格も取得しました。
   「今後は大会を継続して開催していき、施設や学校でも普及活動を行いたい。ボッチャを通して、障がい者と健常者の垣根をどんどん取り除いていければ」と、熱い眼差しで話してくれました。


取材／ライターグループfumoto