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五島市の財産である里道が不法占有されているので、土地の明渡し又は占用料相当額あるいは地代相当額を請

更新日:2019年3月17日

公表日

平成30年10月19日

結果

棄却

監査結果の詳細

請求日

平成30年8月21日

請求の要旨

個人情報にあたる部分は「●●」と表示しています。

請求の理由

五島市たい肥センターの隣接地に太陽光発電設備(以下「本件施設」という。)が設置されている。五島市浜町●番●及び●番●との間には、国から贈与を受けた里道(以下「本件里道」という。)が存在するが、本件里道の一部が本件施設により不法に占有されている。

この不法に土地を占有している行為は、刑法(明治40年法律第45号)第235条の2の不動産侵奪罪に抵触し、五島市においても、五島市財産の交換、譲与、無償貸付け等に関する条例(平成16年五島市条例第51号)に反する行為であり、公有財産の管理及び処分については地方自治法(昭和22年法律第67号)第238条の5に、公有財産の使用については同法第238条の6にも反する。また、五島市法定外公共物管理条例(平成17年五島市条例第43号。以下「管理条例」という。)第4条には、土地を占用しようとする者は、市長の許可を受けなければならないとされている。

当該違法行為により、五島市は、本件土地の占用料相当額あるいは地代相当額の被害を被っており、現時点で問題であるとして解決に動かなければ、今後も損害を被ることは明らかである。

請求の内容

  • ア 本件施設によって不法占有されている本件里道を市に明け渡すこと、又は占用料相当額あるいは地代相当額を本件施設の発電事業者等に請求すること。
  • イ 本件施設の開発事業者「株式会社多摩川ホールディングス」又は発電事業者「有限会社藤島興産」を刑法第235条の2の不動産侵奪罪で刑事告訴すること。
  • ウ このような状況に至った詳細及びその責任者を明らかにした上で、関係団体、関係人、関係職員、決裁権者、専決権者、五島市その他の責任者(以下「関係者等」という。)に対し、損害賠償請求又は不当利得返還請求すること。
  • エ 市が本件里道を原状回復し、その費用を関係者等に請求すること。
  • オ 不法に占用している者(以下「不法占用者」という。)に対し、管理条例第19条の規定に基づく過料処分を行うこと。

監査の結果

監査委員の判断

本件請求は、地方自治法第242条に規定する要件を具備しているものと認め、受理したが、本件請求の一部については、監査期間中に、既に必要な措置がとられている事実が確認され、住民監査請求の理由を失うに至っているので却下し、その余の部分については理由がないと認め、棄却する。

また、法定外公共物の管理について、意見を付す。

判断の理由

ア 本件里道が不法占用されている事実があるかについて

本件里道が、本件施設の設置により不法占用されている事実があるかについて検討する。

市は、平成17年3月31日の国有財産譲与契約によって、本件請求の対象とされる本件里道の所有権を取得している。

不法占用者は、平成25年10月3日に五島市たい肥センターの隣接地に本件施設を設置したが、その土地に市の財産である本件里道が含まれていることについて認識がなかったことから、市に対して本件里道に係る占用等許可申請又は払下げ申請をしていなかった。

したがって、本件里道に本件施設を設置した行為は、市の許可なくした行為であるから、管理条例に違反し不法に占用していると認められる。

イ 不法占用による損害賠償請求権及び不当利得返還請求権について

本件里道を不法占用していることに対し、市に損害賠償請求権又は不当利得返還請求権があるかについて検討する。

判例は、市においては、管理条例を定め、市が管理している道路で、道路法の適用を受けないものについても、その本来の用途以外の用途に使用する行為等をしようとする場合には、市長の許可を受けなければならないと定め、市長は、道路の占用につき占用料を徴収する旨定めており、これに基づく占用料は市に帰属する。このように市長は、道路の占用につき占用料を徴収することができるのであるから、道路が権原なく占有された場合には、市長は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権及び不当利得返還請求権を取得するものというべきであるとしている(大阪地方裁判所平成28年4月14日判決)。

これを本件についてみると、本件里道に本件施設が設置され、本件里道を占用していることは明らかであるから、市は、不法占用者に対して、本件里道の不法占用を理由に、不法行為による損害賠償請求権及び不当利得返還請求権に基づき占用料相当額を請求できることになる。

ウ 損害賠償又は不当利得の請求額について

損害賠償又は不当利得の請求額の算出に当たって、まず、本件里道の不法占用期間について検討する。

本件里道の占用は、本件施設の設置によってされたものであるから、本件施設の設置が開始された日から不法占用が始まったといえる。本件施設は、平成24年12月22日に工事が着手されているから、この日が不法占用の起算日となる。

また、本件施設は、監査日現在においても本件里道上に設置され続けているが、不法占用者から平成30年10月12日付けで本件里道に係る法定外公共物占用等許可申請書が提出され、市は、同月16日付けで、同月16日から平成31年3月31日までを占用の期間とする法定外公共物占用等許可書を交付しているから、不法占用は、平成30年10月15日まで継続していたというべきである。

なお、本件施設の所有権は、平成25年6月5日に株式会社多摩川九州から有限会社藤島興産に譲渡されているから、株式会社多摩川九州による不法占用の期間は、平成24年12月22日から平成25年6月4日まで、有限会社藤島興産による不法占用の期間は、平成25年6月5日から平成30年10月15日までとなる。

次に、本件里道の不法占用を理由とする不法行為による損害賠償及び不当利得の請求額について検討する。

不法占用されている本件里道は、求積図によると五島市浜町●番●地先から同町●番地先及び五島市浜町●番●地先から同町●番●地先の一部であり、その占用面積は124.13平方メートルである。徴収条例の規定(1(1)エ参照)に基づき、株式会社多摩川九州及び有限会社藤島興産の不法占用の期間から各年度の占用料相当額を算出すると、株式会社多摩川九州については、
平成24年度 125平方メートル×200円×3月+125平方メートル×200円×1/2=87,500円
平成25年度 125平方メートル×200円×2月+125平方メートル×200円×1/2=62,500円
となるから、これらの合計金額150,000円が、株式会社多摩川九州に対する損害賠償及び不当利得の請求額となる。また、有限会社藤島興産については、
平成25年度 125平方メートル×200円×10月=250,000円
平成26年度 125平方メートル×200円×12月=300,000円
平成27年度 125平方メートル×76円×12月=114,000円
平成28年度 125平方メートル×76円×12月=114,000円
平成29年度 125平方メートル×76円×12月=114,000円
平成30年度 124.13平方メートル×67円×7月=58,216円
となるから、これらの合計金額950,216円が、有限会社藤島興産に対する損害賠償及び不当利得の請求額となる。

さらに、これらに対する不法占用のあったときから支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金及び法定利息(ただし、法定利息については、悪意の受益者に限る。)についても請求する必要がある。

エ 市に違法又は不当に損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使しない事実があるかについて

本件里道を不法占用していることに対し、市に損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使しない事実があり、それが違法又は不当に財産の管理を怠る事実に当たるかについて検討する。

判例は、地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法第240条、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第171条から第171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないとしている(最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決)。

さらに、財産の管理を怠る事実とは、公有財産を不法に占用されているにもかかわらず何らの是正措置を講じない場合等とされている(昭和38年12月19日行政実例)。

これを本件についてみると、市は、不法占用者に対して、本件里道の不法占用を理由に、不法行為による損害賠償請求権又は不当利得返還請求権に基づき占用料相当額を請求することができるところ、市は、本件請求が提出されるまで、これらの請求権を行使していなかったのであるから、違法に財産の管理を怠っていたというべきである。

しかしながら、市は、平成30年10月16日付けで、不当利得返還請求権に基づき、不法占用期間に係る占用料相当額及び法定利息を支払うよう不法占用者に対し請求しているので、占用料相当額及び法定利息を請求した同月16日以後は、本件里道が不法占用されていることに対し、市に損害賠償請求権及び不当利得返還請求権を行使しない事実は認められないこととなった。

以上のとおり、本件里道の不法占用に対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使することを求める本件請求については、既に必要な措置がとられていることが確認されたから、住民監査請求の理由を失うに至っているものと判断する。

オ 市に違法又は不当に施設の撤去及び本件里道の原状回復を命ずる権利を行使しない事実があるかについて

請求人は、本件里道に係る占用の許可を行う前に、不法占用者に対し本件里道を明け渡すことを求めているので、市が、不法占用者に対し、施設の撤去及び本件里道の原状回復を命ずる権利を行使しない事実があり、それが違法又は不当に財産の管理を怠る事実に当たるかについて検討する。

管理条例第10条第1項第1号において、市長は、管理条例の規定又は管理条例の規定に基づく処分に違反した者に対して、法定外公共物を原状に回復することを命ずることができるとされている。

不法占用者が占用等の許可を得ずに本件里道に本件施設を設置した行為は、管理条例に違反する行為であり、市長は原状回復措置を命ずることができるものであるが、本件里道については、数十年前の福江空港滑走路延長工事に伴う土砂搬出により国からの譲与時には里道としての機能を有していなかったものと認められ、また、平成30年10月12日付けで提出された本件里道に係る占用等許可申請において、隣接の地権者の同意が得られていることが認められる。

以上の事情からすれば、本件里道に本件施設を設置しても特段の支障がなく、市に財産的損害が認められない以上、施設の撤去及び本件里道の原状回復を命ずるまでには及ばないものであり、市に違法又は不当に財産の管理を怠る事実があったとはいえないと判断する。

なお、請求人は、市が本件里道を原状回復し、その費用を関係者等に請求することを求めているので、その主張について検討する。

行政庁は、行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条の規定による行政代執行として、法律により直接に命じられ、又は法律に基づき行政庁により命ぜられた行為について義務者がこれを履行しない場合において、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつ、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、自ら義務者の行うべき行為をし、又は第三者にこれを行わせ、その費用を義務者から徴収することができる。また、道路法第71条第3項の規定による略式代執行として、同法の規定に基づく処分に違反している者等に必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、道路管理者は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができるとされている。

しかしながら、法定外公共物は、法律である道路法の適用を受けない認定外道路であるから、行政代執行及び略式代執行の対象とならない。したがって、当該請求には理由がない。

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このページに関する問い合わせ先

監査委員事務局 監査係

郵便番号:853-8501
長崎県五島市福江町1番1号(本庁舎)

直通電話:0959-72-6152
ファクス番号:0959-74-1994(代表)

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