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補助金が交付されて牛舎等が建設された土地に対する固定資産税を適正に賦課徴収することを求める措置請求

更新日:2019年3月17日

公表日

平成30年7月20日

結果

却下

監査結果の詳細

請求日

平成30年5月21日

請求の要旨

個人情報にあたる部分は「●●」と表示しています。

請求の内容

市長は、速やかに、五島市野々切町●●●●番●の土地(以下「本件土地」という。)に対して本来徴収すべき固定資産税を賦課し、徴収すること。

請求の理由

本件土地には、平成16年度に国、県及び市からの補助金を受けて牛舎等(以下「本件施設」という。)が建設されていたにもかかわらず、市の業務懈怠により、本件土地の固定資産税は、現況地目の「雑種地」で課税すべきところ、平成29年度分まで登記地目の「畑」のままで課税されている。

したがって、平成16年度分から平成29年度分までの本件土地の固定資産税について、市が本来賦課徴収すべきであった固定資産税との差額858,200円が納税されなかったことは、市に損害を生じさせている。

監査の結果

監査委員の判断

本件請求は、地方自治法第242条に規定する要件を具備しているものと認め、受理したが、監査期間中に、請求人が求める措置のうち、法令上措置が可能な部分については既に必要な措置がとられている事実が確認された。したがって、住民監査請求の理由を失うに至っているので、却下する。

また、固定資産税の賦課に関する事務において留意すべき事項が見受けられたので、市長に意見を提出します。

判断の理由

ア 地平成16年度分から平成25年度分までの本件土地の固定資産税に関する住民監査請求の要件について

請求人は、平成16年度分から平成29年度分までの本件土地の固定資産税について、市が本来賦課徴収すべきであった固定資産税との差額が納税されなかったことは、市に損害を生じさせていると主張する。そこで、請求の対象とする平成16年度分から平成29年度分までの本件土地の固定資産税のうち、平成16年度分から平成25年度分までについて住民監査請求の要件を満たしているか検討する。

なお、請求人は、請求の対象を本件土地に対する「平成16年度分から平成29年度分まで」の固定資産税としているが、本件施設は平成17年3月28日に建設されており、固定資産税の地目の変更は平成18年度分から適用されるから、「平成18年度分から平成29年度分まで」とするのが正当である。したがって、以下記載する請求の対象は、平成18年度分からとする。

地方自治法第242条第1項は、普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担(以下「財務会計上の行為」という。)があると認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求することができる旨規定し、同条第2項は、当該財務会計上の行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは、正当な理由があるときを除き、住民監査請求をすることができない旨規定している。

このような請求期間の制限は、普通地方公共団体の執行機関又は職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法又は不当なものであったとしても、いつまでも監査請求の対象となり得るとしておくことが法的安定性を損ない好ましくないとして定められたものである。しかしながら、当該財務会計上の行為が極めて秘密裡にされ、1年を経過してから初めて明らかになった場合など、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したとしても、客観的にみて当該財務会計上の行為を知ることができない場合についてまで、その趣旨を貫くことは相当でないから、正当な理由があるときは、例外として、当該財務会計上の行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても、当該財務会計上の行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をすることができるとされている(最高裁判所昭和63年4月22日第二小法廷判決)。

また、財務会計上の行為又は怠る事実は、普通地方公共団体に積極消極の損害を与え、ひいては住民全体の利益に反するものでなければならず、違法、不当な事由があるとしても、それが普通地方公共団体に損害をもたらすような関係にはないことが明らかな場合は、住民監査請求の対象にならないとされている(最高裁判所平成6年9月8日第一小法廷判決)。

したがって、普通地方公共団体の住民が住民監査請求をするためには、その対象が当該普通地方公共団体の執行機関又は職員の違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実であること、当該財務会計上の行為又は怠る事実により当該普通地方公共団体に損害が生じること、正当な理由があるときを除き、当該財務会計上の行為があった日又は終わった日から1年以内の請求であることなどが要件となる。

これを本件についてみると、固定資産税の賦課決定は、法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においてはすることができないとされている(地方税法第17条の5第5項)。法定納期限とは、地方税を納付し、又は納入すべき期限をいい、地方税で納期を分けているものの第2期以降の分については、その第1期分の納期限をいい(地方税法第11条の4第1項)、同法第362条第1項の規定に基づき定められた税条例第67条において、第1期の納期は4月15日から同月30日までと定められている。また、五島市固定資産税及び都市計画税の納期の特例に関する条例第2条に固定資産税の納期の特例として、地方税法第341条第6号に規定する基準年度の年度分に係る固定資産税の第1期の納期は5月15日から同月31日までと定められている。

したがって、平成18年度分から平成29年度分までの本件土地の固定資産税の各法定納期限は、平成18年度分、平成21年度分、平成24年度分及び平成27年度分が5月31日、それ以外の年度が4月30日となり、その賦課決定をすることのできる期限は、各年度の5年後の年の5月31日又は4月30日となる。

そうすると、平成18年度分から平成25年度分までの本件土地の固定資産税については、遅くとも平成30年5月1日(平成年度分の固定資産税の法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日)以後には新たな賦課をすることはできなくなったものであるから、同月21日に提出された本来徴収すべき固定資産税の賦課徴収を求める本件請求は、過去の怠る事実を改めることを求めるものであり、住民監査請求の要件に該当しない不適法な請求になる。

以上によれば、請求人の求める措置のうち、平成18年度分から平成25年度分までの本件土地に対する固定資産税の賦課徴収を怠る事実を改める請求は、住民監査請求の要件に該当しないものであるから不適法なものとして却下を免れない。

イ 本件土地の平成26年度分から平成29年度分までの固定資産税に係る怠る事実及び市の損害について

次に、請求人が賦課徴収を求める平成18年度分から平成29年度分までの本件土地の固定資産税のうち、請求の対象となる平成26年度分から平成29年度分までの固定資産税について、違法又は不当に賦課徴収を怠る事実があるか、また当該怠る事実により市に損害が生じているか検討する。

税務課は、本件施設に係る補助金の担当部署である農業振興課から平成30年2月28日に補助金関係資料の提供を受け、本件施設が平成17年3月28日に建設されていることを確認している。これにより税務課は、時効により遡及課税することができない平成18年度から平成25年度までの分を除く固定資産税について、地目を「畑」から「雑種地」に変更するとともに課税標準額を変更し、平成30年6月12日に納税義務者である本件土地の前所有者に対し、納期限を平成31年2月28日とする税額変更通知書を送付している。

したがって、平成26年度分から平成29年度分までについては、既に本来課税すべき固定資産税を賦課しており、当該固定資産税を徴収することができる期間は未だ経過していないから、市に損害が発生することが確定したものではない。

以上のとおり、本件土地に対して本来徴収すべき固定資産税を賦課し、徴収することを求める本件請求については、平成26年度分から平成29年度分までの固定資産税について既に必要な措置がとられていることが確認されたから、住民監査請求の理由を失うに至っているものと判断する。

ウ 本件土地に対する固定資産税の賦課徴収の違法性について

ア及びイにより、本件土地に対して本来徴収すべき固定資産税を賦課し、徴収することを求めた本件請求については、住民監査請求の要件を満たしていないこと、また既に必要な措置がとられていることから、住民監査請求の理由を失っているが、本件土地に対する固定資産税の賦課徴収を違法又は不当に怠る事実があるかについて検討する。

本件土地については、本件施設に係る補助金関係資料から平成17年3月28日に本件施設が建設されていることを確認することができる。また、農業用施設が建設されている土地の地目は、地方税法第388条第1項の規定により総務大臣が定める固定資産評価基準及びこれに基づいて定められた五島市固定資産(土地)評価事務取扱要領により「雑種地」となる。

したがって、本件施設の建設当時、税務課がその事実を把握していたならば、本件土地は平成18年度分から「雑種地」として評価され固定資産税が賦課されていなければならないが、税務課はその事実を承知せず、本件土地の固定資産税は、平成18年度分から平成29年度分まで登記地目である「畑」で賦課されていた。

地方税法第403条第2項は「固定資産の評価に関する事務に従事する市町村の職員は、総務大臣及び道府県知事の助言によって、且つ、納税者とともにする実地調査、納税者に対する質問、納税者の申告書の調査等のあらゆる方法によって、公正な評価をするように努めなければならない。」とし、同法第380条第1項は「市町村は、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければならない。」と規定して公正な評価を求めている。

したがって、地方税法及び税条例の定めるところに従って固定資産税を賦課徴収すべきところ、課税権者の長である市長は、平成18年度分から平成29年度分までの本件土地について本来課税すべき固定資産税を賦課徴収していなかったのであるから、違法に怠っていたというべきである。

エ 固定資産税の賦課徴収を違法に怠ったことの故意又は過失の有無について

(ア)平成18年度分の固定資産税について

平成18年度分の本件土地に対する固定資産税が「雑種地」として賦課されていないことについて、故意又は過失が認められるか検討する。

税務課は、地方税法第382条第1項の規定に基づく法務局からの土地家屋登記済通知書、土地所有者からの申告、農地法に関する届出、建設課からの建築確認申請の情報提供等があった場合に実地調査を行っているが、市の補助金を受けて整備した施設等の情報について、補助金の担当部署に対しその情報を収集していなかった。

このことについて税務課は、陳述会において、本件土地には平成16年度に五島市の補助事業で本件施設が建設されているが、当時の補助金担当部署である農林課から税務課への報告の義務はなく、税務課においても農林課から情報を得ることができるとの認識がなかったことから連携されていなかったと陳述している。

しかしながら、税務課と農林課は同じ市長の権限に属する部署であり、相当の注意力があれば、本件施設の補助金に関する情報を収集することは可能であるから、過失があったといわざるを得ない。

(イ)平成19年度以後の年度分の固定資産税について

次に、平成19年度以後の年度分の本件土地に対する固定資産税が「雑種地」として賦課されていないことについて、故意又は過失が認められるか検討する。

一般に、賦課課税方式がとられている固定資産税等の賦課徴収に当たる市町村長は、定められた期間内にその区域内に存在する極めて多数の固定資産を評価した上固定資産税等を賦課徴収しなければならないのであって、地方税法第408条に規定する固定資産の状況の実地調査の程度、態様についても、少なくとも土地についてはすべての土地の利用状況の細部についてまで逐一行う必要はなく、特段の事情がない限り、外観上の土地の利用状況、現況地目等を確認し、これらの変化があった場合にこれを認識する程度で足りるものと解され、市長等において、固定資産税等の賦課徴収事務の一環として、限られた期間内に逐一その現実の利用状況等を調査することが事務的、技術的に極めて困難であることは明らかであると解されている(大阪地方裁判所平成20年2月29日第2民事部判決)。

また、固定資産税の課税客体の把握については、固定資産の異動があったときに把握することができなければ、地方税法第408条に規定する固定資産の実地調査及び3年に1度の評価替えにおいて、新たに課税客体に変更があったことを発見することは容易ではない。

したがって、平成19年度以後の年度分の本件土地に対する固定資産税が「雑種地」として賦課されていないことについて、故意又は過失があるとまでいうことはできない。

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このページに関する問い合わせ先

監査委員事務局 監査係

郵便番号:853-8501
長崎県五島市福江町1番1号(本庁舎)

直通電話:0959-72-6152
ファクス番号:0959-74-1994(代表)

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