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「補助金が交付された施設の事業継続が困難となった」事案に関し違法若しくは、不当な公金が支出された行

更新日:2019年3月17日

公表日

平成30年4月27日

結果

棄却

監査結果の詳細

請求日

平成30年3月6日

請求の要旨

請求の内容

市長は、本件施設に関する補助金交付決定を直ちに取り消し、農協に対し交付した本件補助金を返還させる必要な措置を講じること。

請求の理由

市は、五島市野々切町において、平成16年度低コスト肉用牛生産特別事業として牛舎施設等を整備するため、ごとう農業協同組合に対し長崎県肉用牛振興施設整備事業費補助金を交付した。

しかしながら、本件施設は、補助金の交付を受けて整備された施設であるにもかかわらず、補助金交付の目的に反して空き牛舎のまま放置され続けている。また、競売により土地の所有権が移転し、土地所有者の承諾がなければ利用できないので、事業の継続が困難になっている。

したがって、市は農協に対し交付した本件補助金の返還を請求すべきところ、これを怠っている。

監査の結果

監査委員の判断

請求には理由がないと認め、棄却しました。

また、本件補助金に係る事務において留意すべき事項が見受けられたので、市長に意見を提出しました。

判断の理由

ア 地方公共団体が交付する補助金について

地方公共団体は、地方自治法第232条の2の規定により、公益上必要がある場合に補助をすることができます。地方公共団体が同条の規定に基づいて行う補助は、これに対し行政処分的性質を付与する特段の法的な規制が加えられていない限り、原則として私法上の贈与に類するものであり、地方公共団体の長が行う補助金交付決定は、私法上の贈与契約の申込みに対する承諾と同視することができるから、交付決定は行政処分に該当しないものと解するのが相当であるとされています(名古屋地方裁判所昭和59年12月26日民事第9部判決)。また、市の補助金等の予算の執行に関する規則及び補助金交付要綱は、事務執行上の内部手続を定めたものに過ぎないから、これらに基づく補助金の交付決定は、地方自治法第242条の2第1項第2号所定の行政処分に当たらないとされています(東京高等裁判所平成元年7月11日第8民事部判決)。

したがって、行政処分的性質を付与する特段の法的な規制が加えられていない限り、補助金は「負担付贈与契約」とされ、「このような条件(負担)を守ったときには、この金額を補助する」という贈与契約を、市と補助事業者が対等な関係で締結したということになり、相手方が負担を履行しない債務不履行(事業遂行義務違反)があるときは、当該負担付贈与契約を解除しうるものと解すべきであります。

これを本件についてみると、市長は、平成16年度長崎県肉用牛振興施設整備事業費補助金交付決定通知書(平成16年12月2日付け五島市指令16農林第48号)において、市補助金規則第6条に定める条件(負担)、補助金返還(解除)となる事由等を明示していません。

イ 本件補助金に係る事業の継続は困難であるとの主張について

請求人は、本件施設は土地所有者の承諾がなくては利用できないので、事業の継続は困難であると主張しているので、この主張について検討します。

本件施設の土地は、競売により平成29年10月13日に請求人に所有権が移転しています。請求人は、平成30年3月1日に土地所有者(請求人)から農協に土地の無断利用についての警告書が送付され、本件施設は、土地所有者の承諾なくては利用ができないので、本補助事業は土地の所有権移転が行われた平成29年10月13日からすでに破綻しているとし、さらに、土地所有者が、使用貸借や賃貸借はしないと明言したら、事業継続の可能性はなくなると主張しています。

しかしながら、請求人は、陳述会において「地権者の気持ちとしては、この施設を有効活用して、農協が掲げる繁殖牛5千頭に向けて協力したい」と陳述し、質疑においても「農協に対して使用貸借や賃貸借はしないという意思表示はしていない」と回答しています。さらに、請求人は、平成30年3月1日に本件土地の交渉に関する権限について代理人を選任し、その権限を委任したことを農協に対し通知しています。

以上のことから、本件施設の土地の所有権が移転後、本件施設の利用について農協と土地所有者との協議は停滞しているが、事業の継続が困難になったとまではいえません。

ウ 市は補助金の返還を請求すべきであるのに、これを怠っているとの主張について

市が補助金の返還を請求していないことは、違法又は不当に財産の管理を怠る事実に当たるといえるかについて検討します。

市補助金規則第17条は、「市長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに付した条件その他法令等又はこれに基づく市長の処分に違反したとき、又は交付除外対象であることが判明したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。」と規定しています。

補助金の交付決定の取消しについては、一般に、補助金等の交付決定に、補助金等交付規則に規定する補助金等の交付の決定の取消しの事由が認められるときであっても、長としては、必ず当該交付決定を取り消さなければならないものではなく、補助目的達成の可否について補助関係の全過程を通じて総合的に判定し、補助金等交付の所期の目的を達成することが困難となったと認められるときに初めてその取消権を行使すべきものと解するのが相当であるとされています(さいたま地方裁判所平成17年6月1日第4民事部判決)。

これを本件についてみると、本件補助金の補助事業者は農協であり、農協が本件施設を整備し事業を委託して実施しています。本件事業受託者が使用しなくなり補助事業が中断となったものの、農協は周辺地区の畜産農家に本件施設の利用を促しており、一時的ではあるが本件施設を利用させています。また、県及び市と連携して新規参入や規模拡大を目指す事業者に対し本件施設を紹介するなどして事業継続に向けて取り組んでいます。一方、市においては、本市の畜産振興を図るうえで、新たに施設を整備するよりも現にある施設を有効活用することが最善との判断の下、本件施設の利用再開に向けて、県及び農協と連携して新規参入を目指す事業者と協議を重ねています。

以上のことから、補助事業者に事業中断という事実があるというだけで、補助金交付の所期の目的を達成することが困難になったとまではいえないから、市が補助金の交付決定の取消権を行使せず、補助金の返還を請求しないことは、市長の裁量権の範囲内にあるというべきであります。よって、市長が違法又は不当に財産の管理を怠っているということはできません。

エ 農協の補助事業中止の決定に伴う補助金返還請求権の行使について

本件補助事業については、平成30年3月28日に開催された農協の理事会において、補助事業の中止及び補助金返還の決定がなされています。また、補助事業の中止に伴う市補助金規則第22条の規定による財産処分承認申請は農協からなされておらず、市は本件補助金に係る財産処分について承認していません。

したがって、補助事業者が補助事業の中止を決定した時から、市補助金規則第22条の規定に違反する状態になり、市が交付した補助金の全部又は一部に相当する額の損害が市に発生したことになります。これにより、市には、少なくとも補助事業の中止の決定がなされたことを知った時から補助事業者に対する補助金返還請求権(不当利得返還請求権)が発生し、市長は、市補助金規則第17条の規定による補助金交付決定の取消し及び第18条の規定による補助金返還の命令を行わなければならないことになりました。

しかしながら、市長は、平成30年4月20日に農協に対し本件補助金の交付決定の一部取消しを通知しているが、補助金返還額を算定するうえで国及び県との協議に時間を要することを理由に補助金返還請求権を行使していません。そこで、補助金返還請求権を行使していないことが、違法又は不当に財産の管理を怠る事実に当たるといえるかについて検討します。

本件補助金は、県補助金を含めて交付され、また、本件補助金とは別に国庫補助金を財源とする中央畜産会補助金が交付されています。本件補助金の返還額を算定するに当たっては、補助事業の中止の時期を確定しなければならないが、前述のとおり、国及び県からの補助金が含まれているため、補助事業の中止の時期を国及び県と協議する必要があり、その協議に一定の時間を要することについては、やむを得ないところであります。

以上のことから、監査日現在において、補助金返還額を確定することができないことについて合理的理由が認められるので、補助金返還請求権を行使していないことが、違法又は不当に財産の管理を怠っているということはできません。

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このページに関する問い合わせ先

監査委員事務局 監査係

郵便番号:853-8501
長崎県五島市福江町1番1号(本庁舎)

直通電話:0959-72-6152
ファクス番号:0959-74-1994(代表)

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