市立学校内科検診に係る費用弁償の返還を求める措置請求
更新日:2022年4月26日
公表日
令和4年4月22日
結果
棄却
監査結果の詳細
請求日
令和4年2月21日
請求の要旨
請求の理由
- ア A島には、市立の国民健康保険B診療所(以下「B診療所」という。)があるにもかかわらず、C島の市立のD診療所(以下「D診療所」という。)の医師が五島市立E学校(以下「E学校」という。)の学校医として配置されている。B診療所の医師は、五島市の職員であり、地方公務員である。五島市の職員である以上、個人的理由で学校医を辞退することは、日本国憲法第15条第2項に反する。
- イ 令和3年度のE学校の内科検診を実施するため、C島のF町からA島のG町までの海上及び陸上の移動にかかった経費は、不当な財務会計上の行為である。
- ウ 令和3年度のE学校の内科検診をH島の医師に委託した場合は、同校の内科検診を実施するためにH島のI港(以下「I港」という。)からA島のJ漁港(A島漁港K地区をいう。以下同じ。)までの定期航路を利用することができるので、E学校の学校医をD診療所の医師に委嘱した場合と比較して、より安い費用で済む。
請求の内容
令和3年度のE学校の内科検診の実施時におけるC島のL漁港(M漁港N地区をいう。以下同じ。)からA島のO漁港(A島漁港P地区をいう。以下同じ。)までの船舶の借上料及びO漁港からE学校までの車の借上料62,360円と、I港からJ漁港までの定期航路の運賃及びJ漁港からE学校までの車の借上料7,480円との差額54,880円を教育長から市に返納させること。
監査の結果
監査委員の判断
本件請求には理由がないと認め、棄却しました。
判断の理由
1 E学校の学校医の委嘱について、事務手続が不適切であるといえるかについて
請求人は、E学校の学校医について、A島にB診療所があるにもかかわらず、隣の2次離島であるC島のD診療所の医師が配置されている。また、B診療所の医師として採用され、学校医を受け持っていた年度も確認されるが、同診療所の医師に対して、教育委員会がきちんと協議を尽くさず今日に至っていると主張するので検討する。
E学校の学校医の委嘱については、1(1)及び同(2)アに記載のとおり、学校教育課は、学校医の選定の依頼先、依頼後の事務手続き、決定方法等を明確にして行っていること、及び法令上に学校医の選任の方法等について特に定めがないことから、E学校の学校医の委嘱について、事務手続きの方法が違法又は不当であるとはいえない。
2 令和3年度E学校の内科検診を実施するため、D診療所からE学校までの海上及び陸上の移動に要した経費を支出したことは、不当な財務会計上の行為に当たるかについて
請求人は、令和3年度E学校の内科検診を実施するため、D診療所の医師がD診療所からE学校までの海上及び陸上の移動に要した経費の支出は不当な財務会計上の行為であると主張するので検討する。
E学校の学校医であるD診療所の医師が令和3年度E学校の内科検診を実施するために、D診療所からE学校までの海上及び陸上の移動に要した経費を支出したことについては、内科検診を行うために必要な経費であり、五島市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償条例第7条第3項においてその例によることとされる五島市職員等の旅費支給条例第7条に規定する「最も経済的な通常の経路及び方法」に該当すると認めることができるから、その移動方法は適当であり、その移動に要した経費の支出についても、1(2)エに記載のとおり財務規則に定める手続にのっとって適正に処理されていると認められることから、違法又は不当な財務会計上の行為に当たるということはできない。
3 E学校の学校医をD診療所の医師に委嘱して実施した令和3年度E学校の内科検診に要する経費として支出したL漁港からE学校までの船車借上料62,360円と、令和3年度E学校の内科検診をH島の医師に委託した場合のI港からJ漁港までの定期航路の運賃及びJ漁港からE学校までの車の借上料7,480円との差額54,880円は、市の損害といえるかについて
請求人は、この令和3年度E学校の内科検診実施のために支出した62,360円と、令和3年度E学校の内科検診をH島の医師に委託した場合のI港からJ漁港までの定期航路の運賃及びJ漁港からE学校までの車の借上料7,480円との差額54,880円が市の損害と主張するので検討する。
E学校の学校医をD診療所の医師に委嘱し、令和3年度E学校の内科検診を実施した際の移動に要する経費(船車借上料)62,360円を支出したことについては、(2)に記載のとおり、D診療所から令和3年度E学校の内科検診を実施するために必要な移動であり、五島市職員等の旅費支給条例第7条に規定する「最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費」に相当する経費と認めることができる。したがって、その移動方法は適当であり、その移動に要した経費(船車借上料)の支出についても適当であると判断できるところ、E学校の内科検診をH島の医師に委託して実施することについては、学校保健安全衛生法第13条及び学校保健安全衛生法施行規則第22条の規定により、学校において行われる健康診断に従事することは学校医の職務とされているから、E学校の内科検診をH島の医師に委託して実施することはできない。また、2に記載のとおり、E学校の学校医を医師に委嘱できる医療機関がH島にはないため、その移動に要する経費は発生せず、したがって、令和3年度E学校の内科検診を実施した際の移動に要した経費(船車借上料)62,360円との差額は発生しないから、市に損害が発生しているとはいえない。
4 結論
以上のとおり、令和3年度E学校の内科検診を実施するため、D診療所からE学校までの海上及び陸上の移動に要した経費を支出したことは、不当な財務会計上の行為に当たるか検討したが、違法又は不当な財務会計上の行為とは認められず、市に損害も生じていないことから、請求人の主張には理由がないと判断した。
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このページに関する問い合わせ先
監査委員事務局 監査係
郵便番号:853-8501
長崎県五島市福江町1番1号(本庁舎)
直通電話:0959-72-6152
ファクス番号:0959-74-1994(代表)