令和2年度例月財務監査結果報告・措置状況(令和2年12月分)
更新日:2021年10月18日
公表日
令和3年3月31日
措置状況公表日
令和3年10月13日
監査結果・措置状況
監査の対象
令和2年12月分の収入及び支出に関する会計伝票
監査の範囲
一般会計、特別会計及び歳入歳出外現金並びに水道事業会計
監査の主な実施内容
例月出納検査に併せて、毎月提出される会計伝票から抽出し、収入及び支出の手続上の是非等について監査を実施した。
監査の結果
上記のとおり監査した限りにおいて、次の指摘事項を除き、監査の対象となった財務に関する事務は法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしていることが認められた。
なお、指導事項については、監査委員事務局長から所管の部局長に通知した。
(1)大畔串地区農業用施設災害復旧工事の契約保証金について
産業振興部農林課
指摘事項 | 講じた措置 |
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大畔串地区農業用施設災害復旧工事については、令和元年度に総務企画部財政課(以下「財政課」という。)で指名競争入札を2度執行したが、入札の結果が不調であったため、産業振興部農林課において、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の2第1項第8号及び五島市財務規則(平成16年五島市規則第43号。以下「財務規則」という。)第87条第1項の規定に基づき随意契約の方法により令和2年7月1日に契約を締結し、契約締結後の同月13日に、契約保証金について納入通知をして、同月21日に納付させている。 契約保証金については、契約の相手方の完全な履行の確保を期待し、受ける損害を補填する目的があることから、財務規則第89条第2項に「契約担任者は、落札者に前項により落札決定の通知をした日から7日以内に契約保証金又はこれに代わる担保を納付又は提供させ、契約を締結しなければならない。」と規定されている。 したがって、契約保証金は、契約締結時に契約の相手方から徴すべきであり、契約保証金又はこれに代わる担保が納付され、又は提供されるまでは契約を締結すべきでない。財務規則及び五島市随意契約ガイドライン(平成22年3月25日付け21五財第1521号)にのっとり、適正な事務処理に努められたい。 |
今回の事務処理については、財務規則等の関係条項を確認し正しく理解しておくことで適正な処理を行うことができたものであります。 再発防止を徹底するため、見積依頼の起案文書に契約方法の理由として根拠法令、規則等の適用条項、契約保証金免除の可否を明記し決裁時に確認するように指導しました。 また、落札決定後は落札者に契約保証金の納付について確認を行い、現金納付の場合は契約書とともに納入通知書を渡すようにし、渡す際に契約書の押印と契約保証金の納付について説明し、契約決議書決裁時には領収書の写しを添付する取扱いとし、所属職員に指導しました。 |
(2)津和丸の売買契約に係る入札保証金の収納及び契約保証金の還付について
奈留支所・産業振興部商工雇用政策課 総務企画部財政課
指摘事項 | 講じた措置 |
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小型船舶津和丸(以下「津和丸」という。)の売買契約については、平成30年1月29日に、奈留支所において3回目の一般競争入札を執行し、落札者が決定したため奈留支所の支所長(以下「奈留支所長」という。)である出納員(以下「支所長出納員」という。)が本件落札者から入札保証金83,000円を収納した。その後、同年2月5日に市有財産売買契約を締結する際、当該入札保証金83,000円のうち、41,500円を契約保証金に充当し、残額の41,500円を本件落札者(本件契約の相手方をいう。以下同じ。)に還付した。そして、同月16日に津和丸の売買代金415,000円が市に納付された。ここにおいて、奈留支所は、保管していた契約保証金41,500円を本件落札者に速やかに還付すべきところ、これを失念して還付していなかった。 令和3年4月1日から新しい財務会計システム(以下「新財務会計システム」という。)を導入するのに伴い、会計課が、現在稼働している財務会計システム(以下「現財務会計システム」という。)における歳入歳出外現金と各部局において所管する歳入歳出外現金とが一致しているか確認するため、令和2年10月7日付けで各部局における歳入歳出外現金の管理状況を調査したところ、本件契約保証金41,500円の還付漏れが判明したことから、平成31年度機構改革に伴う支所業務の本庁集約化に伴い奈留支所の事務の移管を受けた産業振興部商工雇用政策課が、同年12月2日に還付しているが、次のとおり不適切な事務処理がなされている。
しかし、組織規則別表第1は、「競争入札及びその契約に関すること。」を財政課の分掌事務としているが、当該事務は、奈留支所の分掌事務には存せず、決裁規程別表第2第1項第4号の表第15項において「決裁規程に定める以外の契約(競争入札に付するものを除く。)のうち、1件の見積価格が500万円以下のものを締結すること。」を支所長の専決事項とするのみである。他方、財務規則別表第1は、財政課長である出納員(以下「財政課長出納員」という。)が委任を受ける事務として「入札保証金等の収納」に関する事務を掲げているが、当該事務は、支所長出納員が委任を受ける事務とはされていない。 組織規則及び決裁規程が行政規則・訓令であることから、財政課長が、財産管理規則第38条第2項の規定により、津和丸の処分を奈留支所長に依頼し、処分させることにより、組織規則別表第1に定める財政課の分掌事務である「競争入札及びその契約に関すること。」が奈留支所の分掌事務とされ、奈留支所長が市有財産である津和丸を競争入札により処分し、その契約を締結できるとしても、これをもって、財政課長出納員が委任を受ける「入札保証金等の収納」に関する事務が、支所長出納員の受任事務となることはない。なぜならば、出納員に委任する事務については、地方自治法第171条第4項に、普通地方公共団体の長は、会計管理者をしてその事務の一部を出納員に委任させた場合においては、直ちに、その旨を告示しなければならないと規定され、出納員その他の職員は、規則によって一定の職にあたるものがこれを兼任する旨の定めを置くことは適当でなく、個々に任命するのがたてまえである(昭和38年12月19日付け自治丁行発第93号)とされているところ、五島市は、辞令及び告示を用いることなく、財務規則第3条から第3条の4までにおいて出納員の設置、任命、併任及び事務の委任について規定することにより、地方自治法第171条第4項の告示に代えているのであるから、別途、「入札保証金等の収納」に関する事務を支所長出納員に委任することが告示され、あるいは財務規則に、当該告示に相当する規定が整備されない限り、出納員に対する委任の効力が生じないからである。 したがって、入札保証金等については、財政課長出納員の名義によりこれらの現金の収納を行い、又は奈留支所において収入命令権者たる市長名義の調定通知書を起票し、納入通知書により指定金融機関等に納付させるべきである。 イの入札保証金等の管理については、これらの現金を受領してから充当し、又は還付するまでの経過を記録した台帳を整備し、還付時期が到来している入札保証金等がないか定期的に確認するなど、適正に管理するべきである。 ウの津和丸を普通財産に編入することなく行政財産のまま売却したことについては、平成29年3月14日に、平成28年9月30日をもって市営交通船としての運航を終えた津和丸を「市としての活用がないこと」などを理由に不用品として売り払うことについて市長の意思決定がなされ、平成29年3月17日には1回目の公売の公告がなされているのであるから、少なくとも同日までには、行政財産の用途又は目的が廃止されていることになる。 したがって、奈留支所長は、津和丸を財産管理規則第4条の規定により普通財産に編入し、財産管理規則第17条の規定に基づき財産処分調書によりこれを財政課長に引き継がなければならなかったものである。 なお、行政財産の用途廃止前の処分について、行政財産として供用している間に契約を締結することが可能であるものとする地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言(平成30年3月26日付け総行行第67号)が発出されているが、この技術的な助言に基づき津和丸を行政財産のまま処分することはできない。 |
[奈留支所] 今回の事務処理については、財務規則等の関係条項を確認し正しく理解しておくことで適正な処理を行うことができたものであります。また、奈留支所長、支所長補佐、担当係長との情報共有が適切になされていなかったことも要因の一つであります。 再発防止を徹底するため、「津和丸売却に係る入札保証金の収納及び契約保証金の還付について」の事件内容及び経緯を全職員に説明し、奈留支所として情報共有しました。次に「入札保証金・契約保証金取扱い確認表」を作成し、入札保証金及び契約保証金を管理するように改善しました。 今後「五島市財務規則」を十分に確認し、「入札保証金及び契約保証金の収納に関する事務」について、奈留支所長は「出納員が委任を受ける事務」に含まれていないため、直接奈留支所で納付しないよう徹底します。また、事務引継書にも今回の指摘の経緯について、詳細に記載しました。 [産業振興部商工雇用政策課] 課内だけでなく、支所とも契約時効について共有することとしました。併せて、契約を行う際には、担当者だけでなく、契約担当係長、庶務担当、庶務担当係長が契約情報を共有し、互いにチェックできる体制を作り、契約補償金の徴取・還付に遺漏がないよう体制を改善しました。 [総務企画部財政課] 入札保証金につきましては、出納員である財政課長が収納し、また財政課長が収納することができない場合にあっては、市長名義の納入通知書により納付させるよう財務規則を遵守した取扱いを徹底するよう指導しました。また、入札保証金等の管理については、適正な管理を行うため記録台帳を整備しました。 行政財産の処分の手続きにつきましては、財産管理規則を遵守し、行政財産から普通財産への用途変更を行ったことを確認したうえで、譲渡又は廃棄する取扱いを徹底し、各課に対して指導してまいります。 |
(3)歳入歳出外現金の管理について
会計課 総務企画部財政課
指摘事項 | 講じた措置 |
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会計課が、(2)に記載する歳入歳出外現金の管理状況を調査したところ、現財務会計システムの歳入歳出外現金の残高のうち、保証金450,900円について、所管部局並びに保証金の内容及び金額を確認することができなかった。 その原因は、所管部局において歳入歳出外現金の管理に関する台帳(以下「管理台帳」という。)を適正に整備していないこと、また、これまで会計課及び所管部局において、歳入歳出外現金について現財務会計システムと管理台帳との内容及び金額が一致しているか確認していなかったことによるものである。さらには、財務会計システムの入替えの際に、歳入歳出外現金の個別データ(以下「歳計外個別データ」という。)を保存していなかったため、平成20年度以前の歳入歳出外現金の内容を確認することができないことも、その要因である。 したがって、所管部局は、管理台帳を適正に管理し、また、会計課及び所管部局は、歳入歳出外現金の年度切替えを行うときは、財務会計システムと所管部局の管理台帳との内容及び金額が一致することを確認したうえで年度切替えを行うべきである。さらには、財務会計システムの入替えの際には、歳計外個別データを新財務会計システムに移行できないか検討するとともに、これを移行できない場合は、歳計外個別データを活用できるよう、別途保管すべきである。 歳入歳出外現金の残高のうち保証金450,900円の内容が不明であることの原因及び今後の対策については、以上のとおりであるが、歳入歳出外現金は、法令の規定に基づき市が保管する、市の所有に属さない現金(公金)であり、内容不明のまま放置しておくことは許されないから、総力を挙げて解明されたい。 ところで、収入命令権者(市長又はその委任を受けて歳入の調定を行う者をいう。)は、入札保証金等の歳入歳出外現金を納入通知書により納付させ、出納員は、領収書を交付している。しかしながら、財務規則第131条は、その第1項において、歳入歳出外現金及び保管有価証券(以下「保管金等」という。)を納付させようとするときは、納付義務者に保管金納付書を交付しなければならないと、第2項において、会計管理者等(会計管理者、その委任を受けた出納員、再委任を受けた分任出納員又は会計職員をいう。)は、保管金等を受領したときは、納付者に保管証書を交付しなければならないと規定するから、保管金等の取扱いについては、これらの規定を遵守されたい。 さらに、契約保証金の還付については、過誤納金還付命令書に契約保証金の領収書の写しを貼付して会計管理者に送付しているが、契約保証金は、契約の履行を確認してから正当債権者に還付するのであるから、過誤納金還付命令書には契約の履行を確認できる書類を添付するよう事務処理を見直されたい。 また、契約保証金については、その受領権が他人に委任される場合があり、返還請求権が譲渡等によって他人に移転する等により、契約保証金を納付した者が正当債権者でない場合があり得る。さらに、債権の譲渡については、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)により民法(明治29年法律第89号)第466条が改正され、原則として、当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられないとされたことから、譲渡制限特約付き債権の譲渡はますます活発化することが予想されるところである。したがって、契約保証金については、五島市営住宅管理条例施行規則(平成16年五島市規則第179号)第17条が敷金の還付を受けようとする住宅の入居者に敷金還付請求書の提出を求めているのと同様に、還付請求書の提出を受けて還付する旨を財務規則に規定するよう検討されたい。 |
[会計課] 歳入歳出外現金の年度切替作業時には、関係各課へ金額の確認だけではなく、その内訳が分かる資料の提出も併せて求めることとし、システムの金額と合致していることを確実に確認した上で作業を行い、適正な管理に努めます。 内容不明金につきましては、再度調査をいたしましたが解明には至りませんでした。 [総務企画部財政課] 歳入歳出外現金については、公会計システム内で管理することとなっており、歳入歳出外現金を適正かつ確実に管理するためにも公会計システムから出力される納入通知書をもって納付書に代える取扱いとしております。 今後は、上記で納付した領収書と引き換えに保管金納付書を交付するように事務処理の改善を図ることとしました。 現在、過誤納金還付命令書には、契約の履行を確認できる書類として、完了報告書又は完成確認書を添付して還付処理を行うこととしています。 契約保証金に係る還付処理については、履行後の還付漏れ、還付遅延を防止することを目的として、還付請求書の提出を受けてから還付するよう事務処理の見直しを図ることとしました。 なお、財務規則第131条第3項において、「保管金等の取扱いについては、歳入歳出の例による」と規定されており、請求書の提出は運用で可能であると考えるため、財務規則の改正については見送りました。 |
(4)ガソリン代の二重払について
水道局
指摘事項 | 講じた措置 |
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水道局は、ガソリン代について、令和2年9月4日に急きょ富江地区で給油した分の請求書3,805円を同月16日に受け付け、当該請求書と給油した時に受領したレシートとの数量及び金額を確認して同月30日に支出した。その後、同年10月13日に、同年9月1日から同月30日まで給油分の請求書を受け付けたところ、当該請求書に同月30日に支出したガソリン代3,805円が含まれていたが、検査職員は、請求書と給油した時に受領したレシートの突合をすることなく、当該請求書の表面余白に契約履行確認の旨等を記載し、押印したうえでガソリン代を支出した。その後、業者からガソリン代の請求誤りの連絡があり、二重払が判明したことから、過払金3,805円を返納させている。 その原因は、五島市水道事業会計規程(平成16年五島市水道事業管理規程第12号)第98条において準用する財務規則第100条が検査職員の職務について規定するにもかかわらず、給付の内容及び数量について検収を行うことなく、請求書の表面余白に契約履行確認の旨並びに年月日及び氏名を記載し、押印することをもって、検収調書の作成に代えたことによるものである。 検査職員が、故意又は重大な過失により法令の規定に違反して検査を怠ったことにより市に損害を与えたときは、これによって生じた損害を賠償しなければならないという職員の賠償責任(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第34条において準用する地方自治法第243条の2の2)の問題が生ずることになるから、確実に履行確認すべきである。 |
4月より給油時に受取るレシートの貼付台帳を作成し履行確認を徹底しています。伝票起票者において、レシートと請求書とのチェックを徹底すること、また、出納事務に関する確認シートでもチェックし再発防止を図ることとしました。会計事務に対する意識を改め、適正な事務処理に努めるよう職員に指導しました。 |
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監査委員事務局 監査係
郵便番号:853-8501
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