令和5年度定期監査結果報告（工事監査）

施工計画書について

施工計画書については、「共通仕様書」、「施工計画書作成の手引き」に従い作成されていた。施工方法の記載内容について、平面的な作業位置、機械配置図、既設相撲場の解体作業等の記載は不足していたものの、施工フローに従って、挿絵、略図等を挿入し、見やすく記載されていた。

施工計画書作成の目的は、図面・仕様書等に定められた工事目的物を完成するために必要な手順や工法及び施工中の管理をどうするか等を定めるものであり、工事の施工・施工管理の最も基本となるものであることから、施工計画書を受領する際は、監督員による十分な確認を行い、是正箇所があれば請負者に対し適切な指導を徹底されたい。

また、施工計画書の記述内容については、過去の工事監査においても技術士から改善を要望されている事項であるので、是正されたい。

事情聴取及び現場検分において、技術士から技術水準の向上のための提案がなされ、また、工事技術調査報告書においても、技術的な提案が記載されている。

その中には、

(1)  施設内の排水対策は、テニスコート面を透水性舗装、排水側溝は浸透水を集水する構造とし、排水桝は公園の既存施設と同型式の浸透枡構造としている。しかし、施設構造により集水面積が異なり排水量が変化することから、現場透水試験等を実施し、排水枡構造の適合性を検証しておく必要があった。また、流末部の暗渠管の構造等についても、詳細な調査が必要である。

(2)  テニスコート面は人工芝を敷設する構造としているが、近年は、人工芝片等の「マイクロプラスチック」による海洋生態系への影響が懸念され、法律も制定されていることから、適切な対策が必要である。ガイドライン等を参考に人工芝片の流出防止対策を実施する必要がある。

(3)  建設工事では、設計成果品の良否が事業推進に大きく影響する。現地状況を加味した適切な設計成果品とするため、設計業務や設計照査を指導するとともに、設計成果品受領時に十分な審査を行う必要がある。良質な設計成果品は、事業の円滑な推進、事業予算の削減、設計変更業務の低減、担当技術者の労働環境改善等につながることから、設計成果品の受領時審査を適切に行われたい。

など、参考とすべき事項がある。そのほかにも施工上の具体的な提案が示されているので、これらを検証し、今後の工事施工に当たって留意されたい。

また、監査結果については、市全体で共有し、公共工事の品質確保に努められたい。