福江武家屋敷通りの石垣(令和2年1月掲載)
更新日:2020年1月1日
使われている石は、鬼岳が噴火してできた石。
島の成り立ちをうまく生活に利用している。
福江武家屋敷通りは、約四百年前(江戸時代)、家臣を全員お城の周りに集め城下町をつくるために作られました。ここには、当時、30~40石の中級武士たちの屋敷が並んでいました。
武家屋敷の周りを囲んでいる石垣は、鬼岳が噴火した時に流れ出た溶岩が冷え固まってできた石を利用して作られています。戸楽には石切り場があり、海で冷え固まった溶岩から石材を切り出していました。
武家屋敷の石垣は、島の成り立ちをうまく生活に活かしたものの代表例といえます。
また、上に「こぼれ石」が乗った石垣は大変珍しいものです。
こぼれ石は、誰かが屋敷に忍び込もうと石垣に乗ると石が落ち、その音で侵入が分かる仕組みになっています。さらに、こぼれ石を、石つぶて、つまり武器として使うことも考えられていたようです。
日本にある石垣は、上に四角い石や白壁、土壁を乗せているものがほとんど。こぼれ石を乗せている石垣は日本で数ヶ所しか確認できておらず、大変貴重な資料です。
こぼれ石の横に置いているカマボコ型の石も特徴的。これは脇石(わきいし)といって、こぼれ石を留めるほか、目印としても使われていたようです。
武家屋敷やお城の石垣を見るとき、石垣の成り立ちや仕組みに注目すると、いつもよりおもしろく見学できますよ。
中村眞由美さんの紹介
五島市文化財保護審議会委員。五島の歴史や自然に精通しており、歴史学習や古文書解読、史跡巡りなど多数の講座の講師を務める。
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