石積みのカンコロ棚に倉庫、家や畑の周りの石垣(令和2年7月掲載)
更新日:2020年7月1日
今回、イチオシの場所を紹介してくれるのは、富江在住の阿野さなえさん。昔から地域の歴史や文化に興味があり、知りたいと思ったことは、小さい頃は祖父母に、大人になってからは地元の先輩に話を聞いていたそうです。
火山の噴火で作られた富江の大地は、溶岩を暮らしに活かした場所がたくさん残されています。その中から、阿野さんが紹介してくれたのが、石積みの建物。カンコロ棚や倉庫など、きれいに積まれた石を見るのが大好きで、仕事の合間に見て回っているそうです。ただ、実際に使われているものは今ではほとんど無く、「だんだん減ってきよっとよ」と少し寂しそうに教えてくれました。
他にも溶岩の石垣や野穴と呼ばれる溶岩トンネルのことを教えてくれました。当たり前のようにある、畑を囲む石垣を見て、「なんでこんなところに石ば積んじょっとやろ?」と思っていたそうです。ある時、畑の整理で石を撤去したところ、その後の大雨で畑の土が全部流されたことがあり、石垣の意味を知るとともに、昔の人の知恵に凄く感動したといいます。
富江の溶岩トンネルは、県の天然記念物になっている「井坑(いあな)」が有名ですが、このようなトンネルが富江の大地の下にはいくつもあり、阿野さんは、知り合いに聞いたり、自分で探したりして、十数個見つけているそうです。
今、興味を持っているのが牛の墓。昔は亡くなった牛を埋葬するための穴が地区ごとにあり、そこにはお地蔵様が祭られているそうです。今は藪になってしまい、探すのは大変ですが、それを見つけるのが今の楽しみとのこと。
こんなことに興味があるのは自分だけと思っていた阿野さん。「ジオパークの先生に会って、毎日見ちょる景色がこがん凄かっち知った。他ん人にも伝えていきたか」と嬉しそうに話してくれました。
阿野さなえさんの紹介
富江町在住。農業を始めて50年で、富江町内の畑で、芋やいんげんなどの野菜を育てている。趣味は、地域の自然や歴史、文化を学ぶこと。
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