火山が生んだ絶景と豊かな暮らし 鬼岳(令和3年7月掲載)
更新日:2021年7月1日
ちょっとユーモラスな形の鬼岳(標高 315m)。数年に一度の野焼きによって維持される、多種多様な草原植物は、春には一面緑色、秋には黄金色へと、季節ごとに表情を変えます。場所によっては、お椀状や盾状に見え方が変わるなど、登っても眺めても楽しい、福江島のシンボル的存在です。
約50万年前から噴火活動を開始した鬼岳周辺の11の単成火山を、総称して「鬼岳火山群」と呼びます。中でも約1 8,000年前に噴火した新しい火山の鬼岳は、その際の噴出物(スコリア)で出来た「スコリア丘」です。私たちの暮らしは、火山群の噴火で流れ出た溶岩台地の上に成り立っています。
鬼岳中腹にある五島椿園は、私の大好きな場所のひとつ。高台からは、同じ火山島である赤島・黄島・黒島が一望でき、爽快な気分にさせてくれます。天気の良い日には、時折友人とお弁当を持って出かけますが、子ども連れの家族が草スキーを楽しんでいたりして、なんとも微笑ましい光景に出会えます。
穏やかな姿からは、かつて噴火した火山とは想像できませんが、それがよくわかるバームクーヘンのような地層の断面を、鬼岳の麓で見ることができます。元々湾曲した地面に、噴火によりスコリアが降り積もり、滑らかな曲線美が完成されました。スコリア中の鉄分の酸化具合によって変化する色や、粒子の大きさなどから、噴火
の規模や時期までが分かるそうです。この地層は、この島の成り立ちを教えてくれる貴重な資源。多くの方に見てほしいなと思います。
知れば知るほど魅力的な五島。ジオガイド養成講座を受け、その思いはより強くなりました。今後も五島のあらゆる場所を訪れ、ジオの観点から、隠れた魅力を自分なりに発見していきたいです。
佐藤 くみさんの紹介
約6年前に東京から福江島に移住。普段は、福祉事業所で利用者の方たちとシルクプリントの仕事に従事。昨年ジオガイドの認定を受け、五島の尽きない魅力を多くの人に伝えています。
取材/ライターグループfumoto
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