人の暮らしと深くつながる花ハマボウ(令和3年10月掲載)
更新日:2021年10月1日
中でも私のイチオシは「ハマボウ」の花です。ハマボウは、自然の中で人の住まいと特別に縁の深い植物だと思っています。ハイビスカスの花にそっくりですが、ハマボウは色鮮やかな黄色の花が咲きます。塩分に強い塩生植物で、河口の汽水域に根を張り群生し、花を咲かせます。奄美地方のマングローブとそっくりの植生で、同じ汽水域に繁殖しますが、五島では、なぜか集落の入口に自生しているのです。
私はこの10年間、ハマボウの花が咲く7月から8月にかけて、時間があるときに福江島東側の奥浦を重点的に探しました。現在までに私が見つけたハマボウは、六方、奥浦、宮原、唐船ノ浦、半泊の5か所です。その全てが集落の入口に生えています。ただし、数百年前には今のような道路はありません。海から集落への入口は、河口になります。
ハマボウが咲く季節に海を渡ってきた人々は、船から満開の花を見て、「きっとこの浜は飲料水があり、飲み水には困らない」と判断し住み始め、集落になったのではないでしょうか。
五島は自然のダイナミックさより、人と自然との関わりに価値があると思います。ジオは難しいことではなく生活と密着した事柄です。大地の魅力は皆さんのすぐそばにあります。不思議で、美しい五島、おおいにジオを楽しんでください。
汽水域…塩水と淡水の両方が混じり合う水域

清瀧誠司さんの紹介
熊本県宇城市出身。済々黌高校時代に地学を専攻し、大地の形成や地質に興味を持つ。現在、脱炭素化を推進するため、再エネ推進に取り組んでいる。福江商工会議所会頭、株式会社神田商会取締役会長、五島市民電力株式会社取締役会長。
取材/ライターグループfumoto
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